健康運動指導士/ジャスミンケア・フィットネス代表 黒田恵美子先生
アクティブで忙しい40代、50代だからこそ
負担なく継続できるセルフケアが必要
仕事にプライベートにアクティブな40代、50代。でも意外なことに、ことセルフケアという観点から見るとぽっかり穴の開いた世代と言えます。というのも、男性は社会的にも責任が重くなる働き盛り世代で忙しく、女性に至っては家事や仕事、子育ての他に親世代のケアも重なって、とても自分を顧みる時間が持てない人が多いからです。
そんな忙しい世代の健康管理には、負担なく日常的に取り入れやすいということがとても大切。運動にしてもわざわざジムに出かける必要があったり、特別な器具やウェアなどが必要なトレーニングでは継続できません。
立つ、歩く、しゃがむ…
日常の動きの一つ一つが10年後のカラダを作る
そこで私が提案するのが、日常の中での「姿勢動作の改善」です。毎日何気なく行っている、歩く、立つ、階段を昇る、座る、しゃがむなどの日常の動きが、みなさん意外に間違った体の使い方をしていることが多いんです。姿勢を正しい位置に戻すだけで、骨盤の位置が矯正されて気持ちよく動きやすくなったり、肩の力が抜けて体の痛みがなくなったり。
さらに、今のカラダをケアするだけでなく、10年後、20年後にもなめらかに動くカラダづくりにも役立ちます。
かくれ老化対策に特別なトレーニングは必要ありません。体の正しい使い方を覚えて、ラクに楽しくセルフケアを実践しましょう。
〈知的食生活〉
東京海洋大学特任教授 矢澤一良先生
かくれ老化を予防する”知的食生活”のすすめ
「健康寿命を延ばしいつまでも元気でいるために、一番重要なのは病気になりにくいカラダを作る『予防医学』です。ですが、予防医学において医療や医薬品にできることは非常に限られています。病気を治すのが医療であり、それを予防するためには食事や運動などの基本的な生活習慣の中での実践しかありません。
老化を促進する大きな原因としては体内の酸化、糖化が挙げられます。老化対策の最初の一歩としては、抗酸化・抗糖化を念頭に置いた食生活を心がけたいもの。
例えば疲れがとれない、ストレスがたまるなど酸化リスクが高まっている人は緑黄色野菜や、赤の色素を持つ魚類や甲殻類を食べるなど抗酸化を意識した食材を。メタボにもつながる糖化リスクを下げるには糖分控えめの玄米食に切り替えるなど低GI値食品が効果的です。さらに女性ならホルモンバランスを整える大豆製品、生活習慣病を防ぎたい中年男性ならばDHA豊富な青魚を取り入れるなど、個人個人の気になるリスクやウィークポイントに合わせたオーダーメイドな食事のとり方が大切です。
自分に必要なものを自覚すること、そしてそれに合わせた食材を取り入れること。かくれ老化の始まる40代からは、そんな『知的食生活』を送ることが大切です」(2012.10.11取材)
- 抗酸化食材…トマトのリコピン、ニンジンのカロテノイドなど、緑黄色野菜の鮮やかな色素には高い抗酸化作用が。また、最近では鮭やイクラ、エビなどの赤い色素の源となるアスタキサンチンも、高い抗酸化効果で注目されています。
- 抗糖化食材…玄米、そば、海藻類、きのこ類など糖分の低い低GI値で、かつ繊維質を豊富に含み糖分の吸収を抑えてくれる食品がおすすめ。さらに主食を食べる前にこのような低GI値食品を摂取することで、血糖値の上昇も防いでくれます。
- 全身コンディショニング食材…鶏肉や豚骨などに含まれるコラーゲンは、筋肉・骨・関節・髪・爪・歯・肌など7つのかくれ老化予防に役立ってくれます。
〈実践編〉
株式会社しょくスポーツ こばたてるみ先生
かくれ老化を防ぐ「3食×3色」の法則
かくれ老化を防ぐ食事のポイントで覚えて頂きたいのが、「3食×3色」の法則です。 まず、法則の中の「3食」ですが、これは一日の中で正しいタイミングで3回食事を摂ることの重要性です。朝食を抜いたり、昼間はエナジーバーやゼリーなどのみでお腹を満たしたり、はたまた仕事が忙しく深夜に食事を摂ってしまったり。食事のタイミングがずれたり欠食することでカラダの防衛反応が働き、脂肪を溜めこみ肥満の原因になってしまうこともあるのです。
そして「3色」の法則。これは、主食(米やパスタなどの炭水化物)を黄色、主菜(肉、魚や豆類のたんぱく質)を赤、副菜(野菜などのビタミン類)を緑色で表したもの。1回の食事の中で、この3色をそろえる工夫をしてみましょうという提案です。外食が多い方や、お昼をコンビニやファーストフードなどで済ませる方には難しく感じるかもしれませんが、たとえば鮭おにぎりや焼き肉おにぎりに、ほうれん草のお惣菜をプラスするだけでも最低限の3色がそろいます。食事を栄養素や成分などで選択し、摂取するのは意外に難しいもの。かくれ老化を防ぐ食生活を始めるならば、まずはこの「3食×3色」を心がけましょう。適正なタイミングで必要な栄養素を摂取することで、効率よくエネルギー燃焼できるカラダを保ち、ひいてはそれが老化予防にもつながります。
運動不足、睡眠不足、そして食生活の乱れ。この3つがかくれ老化の大きな原因です。食べ物は薬と違って即効性はありませんが、バランスのよい食事を適量ずつ続けていれば必ずカラダは応えてくれます。お腹が膨れれば良いという考えはもう終わり。40代、50代のかくれ老化世代の方には、健康なカラダを作るための目的を持った食生活を送って頂きたいと思います。
東京海洋大学特任教授 矢澤一良先生
自分に必要な機能を見極めるのがサプリ選びのポイントです
「一口にバランスの良い食生活と言っても、なかなか難しいもの。栄養学の基礎としてよく言われる『一日30品目摂取』なども、どれだけの方が実践できるでしょうか。
そんなときに役立ってくれるのが、特定の成分が強化、凝縮されたサプリメントの存在です。
サプリにおいても食事と同じように、自分のウィークポイントを早めに自覚し、それに合わせた成分選びが一番の重要ポイントになってきます。
錠剤など医薬品を連想させる形状に抵抗がある方に向けて、最近ではドリンク剤など手軽に摂取できる形状や、トクホ食品(特定保健用食品)、さらにはゼリーやチョコなどに栄養機能成分が配合された機能性おやつまで、食品とサプリメントの中間に位置する栄養機能性食品も増えてきました。
このようなものも上手に活用しながら、日々の健康管理、ひいてはやがて来るシニアライフのQOLを向上させていきたいものですね」(2012.10.11取材)
【おもなかくれ老化対策成分】
- 抗酸化…ビタミンC、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、ビタミンE、レスベラトロール、βカロテン、ポリフェノール、カテキン
- 抗糖化…ビタミンB群、αリポ酸、クエン酸
- 骨と関節…カルシウム、ビタミンD、グルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン
- 筋肉…クレアチンなど
また最近では、コラーゲン由来のペプチドが、筋肉・骨・関節・髪・爪・歯・肌という7つのかくれ老化の困った変化に働きかけることが研究されています。